機能性表示最新情報 217号 / 不安感の軽減の不思議

こんにちは。YDCのミッシーです。

毎年度おこわれている消費者庁の分析に関する検証
事業がまた始まったようで、各社に質問状が送られ
ています。今年は少し遅いような感じがしますが、
コロナの影響でしょうか。回答の期限は10月10日な
ので、対象となった皆様は、お忘れなきようご対応
ください。

それでは、機能性表示最新情報のご紹介です。

G425 BRAINs(ブレインズ)
「本品にはバコパサポニン、熟成ホップ由来苦味酸
が含まれます。バコパサポニンは、加齢により低下
する認知機能の一部である記憶力(日常生活で見聞
きしたことを覚え、それを思い出す能力)を維持す
ることが報告されています。熟成ホップ由来苦味酸
は、加齢により低下する認知機能の一部である注意
力(複数の情報を同時に処理する能力、情報を正し
く処理する能力)の維持に役立ち、また、日常生活
における一時的な不安感を軽減することが報告され
ています。」

届出者はファンケルさん。熟成ホップ由来苦味酸に
は、これまで体脂肪の訴求で3件の事例がありまし
たが、そこに認知機能と不安感が加わったことにな
ります。

認知機能と不安感はそれぞれにSRがありますが、ど
ちらのSR も採用文献は、(1)Fukuda2020a、(2)
Fukuda2020b 、の2報で同じです。

これはそれぞれの論文の主要アウトカムが認知機能
で、副次アウトカムがPOMSなどの不安感に関するも
のとなっており、主要アウトカムで認知のSR を、
副次アウトカムで不安感のSR を作成しているため
です。

よってここで言う「日常生活における一時的な不安
感を軽減する」は、一般の人々に対するものではな
く、加齢による記憶力の低下が気になる人が対象で
あり、認知機能の改善に伴うQOL向上の一環として
の、不安感の軽減であるということです。

届出表示上の表現としては難しい所ではありますが、
G425は対象者だれなのかという区別は少しわかりづ
らい感じがします。

ところで、不安感の軽減という訴求は今回が初めて
ではありません。過去に次のような事例があります。

F263 メンタルサポート ココカラケア
「本品には、CP2305ガセリ菌(L. gasseri
CP2305)が含まれており、健康な方の日常生活にお
ける不安感、気分の落ち込み、精神的ストレスを緩
和し、睡眠の質(眠りの深さ)を高め、腸内環境を
改善する機能があります。」

こちらは健常者を対象とした不安感の軽減です。
その不安感について、「特性不安」という効果指標
に有意差があったことを取り上げて次のように解説
しています。

『「特性不安」とは「不安感」の一種であり、不安
になりやすい傾向を持つ性質のことをいい、「特性
不安」が強いと特定の状況に対してほかの人よりも
強い不安を感じる。すな わち、「特性不安」が高
いと、学術試験のような日常生活におこりうる特定
の状況に対し て不安を感じる。』

一方で今回のG425では、「POMS2」のうち「緊張-不
安」のスコアの有意差や、「日本版成人メタ記憶尺
度」の「不安」のスコアのみ有意傾向があったこと
を取り上げて、次のように説明します。

『性格特性として の不安を表す「特性不安」及び
認知機能検査の前後という非日常時に感じた不安感
を表す「状態不安」では有意差は確認されなかった。
このことから、熟成 ホップ由来苦味酸は日常生活
における一時的な不安感を軽減するものと考察さ
れた。』

同じ日常生活における不安感にもかかわらず、F263
では特性不安に有意差があることを日常と結びつけ
るのに対して、G425では特性不安と状態不安に有意
差がないことをもって日常的としており、二つのロ
ジックは正反対の様で、何とも不思議です。

それでは、またメールしますね。