機能性表示最新情報 350号 / エキスと食品形態

こんにちは。YDCのミッシーです。

それでは機能性表示最新情報をご紹介します。

J78  温活くるみ はちみつしょうが味

「本品にはショウガ由来ポリフェノール(6-ジ

ンゲロール、6-ショウガオール)が含まれます。

ショウガ由来ポリフェノール(6-ジンゲロール、

6-ショウガオール)は、気温や室温が低い際に、

末梢部位の皮膚表面温度を維持する機能がある

ことが報告されています。また、本品にはジン

ジャーエキスが含まれます。ジンジャーエキス

は、便秘気味の方の排便回数を増やすことが報

告されています。」

今回は久しぶりにエキスの事例を取り上げます。

ジンジャーエキスについては今回が初めての受

理というわけではなく、I908などの既存事例が

あります。それではなぜ取り上げたのかという

と、食品形態が興味深かったためです。

J78はクルミを加工した食品です。パッケージ

の写真を見ると、粉のようなものをまぶしたクル

ミの小片があります。この粉にジンジャーエキ

スが配合されている、というところでしょうか。

これまでエキス関連の申請では、液状やカプセ

ルなどのサプリメント形状が主でした。粉末状

などもあります。ところが、J78は、まぶして

ある粉末にエキスが配合されているとしても、

最終的に口に入る形態は一般的な食品(ナッツ

類)と同じものです。

こういう一般的な食品の形態のものをエキスで

届出する場合を考えてみます。

まず定量試験や定性試験については、食品の形

態がどうであれやることは変わりません。基本

的には、エビデンス、原材料、最終製品のエキ

スについて、クロマトパターンなどを使って同

等性を説明していきます。

変わってくるのは、崩壊性、均質性、溶出性に

ついていです。通常はこれらについてもエビデ

ンス、原材料、最終製品のエキスを比較して同

等性の説明をする必要があります。

しかしガイドラインによれば、「食品形態が液

剤の場合は、崩壊性試験、溶出試験及び製剤均

一性試験を行う必要はない。 」とされていま

す。エキスの届出は飲料形態の方が楽だと言わ

れるのはこのためです。

そこでJ78ですが、これらについて以下のよう

に説明があります。

「最終製品の形態はくるみ加工品であり、その

まま咀嚼して喫食することを前提としている。

そのため、崩壊性試験、溶出試験は必要ないと

判断した。 しかし、臨床試験に用いた形態は

カプセルであるため、試験において留意すべき

吸収性の遅延などがなかったかを確認するため、

臨床試験に用いたカプセルの崩壊性試験の結果

を以下に示す。」

内容からすると、液剤の場合と同じように考え

ていることが分かります。ただ、均一性試験に

ついては言及されていません。

通常の食品において、均一性を論じることは難

しいように思います。対象は、大きさや形が少

しずつことなるクルミであり、そこにさらにエ

キスの原料をまぶすなりしているわけですが、

それが均一にできるのか、という疑問がありま

す。

このため、どういう説明をするのかは興味深い

ところだったのですが、特に言及されていない

のは残念ですね。

それでは、またメールしますね。