こんにちは、林田学(Mike Hayashida)です。
機能性表示制度
~機能性表示で「免疫力向上」と言えるか?~
について解説します。
先日ご紹介した機能性表示ガイドライン案に
免疫力のことが書いてあったので、
気にしておられる方もいらっしゃるようです。
曰く、
「限られた免疫指標のデータを用いて身体全体の
免疫に関する機能があると誤解を招く表現」は
認められない。
これはどう理解したらよいのでしょうか?
結論的には、6のデータをもとに
10と言ってはいけないという、
当たり前のことを言っているだけで
免疫表現がダメだ、ということではありません。
ただ、免疫のデータは複合的なので、
「6のデータをもとに10と言う」
過ちを犯しやすいという傾向はあります。
たとえば、「T細胞が増加した」というデータは、
免疫機能のある部分が向上した、ということを
意味していますが、
免疫機能=T細胞ではないので、
「T細胞が増加した」というデータだけで、
「免疫機能が向上した」というのは言い過ぎ、
つまり、
「6のデータをもとに10」と
言っていることになります。
これが同じく機能であっても、肥満予防の場合は
「体重が減少した」というデータがあれば、
「肥満予防に効果あり」と言えるでしょう。
この場合は、
体重減少=肥満予防という関係が
成り立っているからです。
要は、言いたい機能とデータの相関関係がどうか?
ということなのです。
あるデータからどこまでのことが言えるかを
正しく理解していればよいのです。
「T細胞が増加した」というデータをもとに
「免疫機能が向上した」と言うのは言い過ぎですが、
「T細胞の増加に役立ちます」と言うのは
言い過ぎではなく、言える表現です。
以上からわかるように、
機能性表示において効果的な訴求をするには、
景表法の考え方と医学理論の両方を
理解しておく必要があります。
さらに、表示=パッケージではなく広告になると、
さらに様々な訴求アイデアがありうるので、
マーケティングの知識も必要になってきます。
このように、エビデンス、リ-ガル、マーケティングの
3局を見渡すことが今後の健食ビジネスの勝負を決める、
ということを、
近著「健食ビジネス新時代を勝ち抜くプロの戦略」で
解き明かしています。
機能性表示が始まる前にぜひご一読ください。
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さて、ここまでわかってくると、
「免疫力が向上」も決して言えない表現ではなく、
データ次第なのだ、ということが理解できると思います。
この記事を読んでいなければ、
ガイドライン案を見て「免疫力はダメそうだ」と
あきらめてしまうプレーヤーも
少なくないでしょうから、
逆に免疫力は狙い目なのかもしれません。